【2019.11.24 更新】
先日、「フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズどれを買ったらいいのか?」とのご質問をいただきました。
まあ、今時のカメラ、どれを選んでもキレイに撮れて楽しいのですが(笑)せっかく質問していただいたので真面目に考えてみたいと思います。
ちなみにご質問いただいたのは、特にレンズ資産に縛られない、久しぶりに新しいカメラを買いたいという方でした。
動画ではなく、静止画(スチル)撮影での話です。
- センサーサイズの違い
- センサーサイズが大きい方がキレイか?
- フルサイズは高い?
- フルサイズは大きくて重い?
- APS-Cは中途半端?
- マイクロフォーサーズはボケない?
- 手ブレ補正なんて付いていれば同じでしょ?
- マイクロフォーサーズの方がノイズ(高感度、長秒)に弱い?
- 一眼レフ?ミラーレス?
- で、結局どれを買えばいいの?
- 独断と偏見のセレクト機種
- 自分が買い直すなら?
センサーサイズの違い
レンズ交換式デジタルカメラの代表的なセンサーサイズは
大きい順に、フルサイズ > APS-C > マイクロフォーサーズ となります。
この他にもさらに大きな中判デジタルや小さな1インチセンサーなどもありますが、今回は先の3種類についてお話しします。
参考までにiPhone11のセンサーサイズも載せておきます。
それに比べると3サイズともかなり大きなサイズだとお分かりいただけるかと思います。
キヤノンのAPS-Cは他社のAPS-Cよりわずかに小さいですがほぼ同じと考えて支障ありません。
センサーサイズが大きい方がキレイか?
基本的に同じ技術レベルであれば、単純に光を受ける面積の大きいセンサーが有利ですので、フルサイズ > APS-C > マイクロフォーサーズ と言う大きさ順の優劣になると思います。
ただ、さまざまなテクノロジーや画素数などによってセンサーの能力も逆転する可能性があります。
現にマイクロフォーサーズセンサーであるE-M1 markIIは多くのAPS-Cセンサーよりも良い結果を出しています。(海外のDxO社が行なっているセンサースコアにて)
フルサイズは高い?
センサーサイズ以外でクラス分けをするとすれば、連写・AF性能で分けられると思いますが、同じクラスだと、センサーサイズが大きい方が高価です。ほとんどの場合。
同じクラスを新品で揃えれば大雑把に、フルサイズ>APS-C=マイクロフォーサーズといったところでしょうか。
ただ、レンズなどはサードパーティー製が豊富なキヤノンやニコンなら、中古の玉数も多いので、安価に購入できる選択肢が多いと思います。
高い方にキリがないのもフルサイズ用のレンズですが😅
フルサイズは大きくて重い?
ボディに関しては各社がミラーレスでフルサイズセンサー搭載機を出していまして、E-M1 markIIと変わらない大きさ、むしろ小さいくらいのサイズになっています。
ただ、レンズに関しては大口径広角レンズや大口径望遠レンズになるとフルサイズセンサー用のものはより大きく重くなり、多くの一般人がドン引きする程度の大きさはあります。
カメクラ(カメラクラスタ=カメラを趣味にする人のSNSなどでの集まり)なら、換算600mmなのにめっちゃコンパクト〜!となるE-M1 markIIに300mmF4程度でも、カメラやってない人には十分ひるまれますけどねw
APS-Cは中途半端?
いや、むしろベストバランスです。(確かライカも言っていた)
ただ、フルサイズを出しているメーカーのサブ機や入門機、または高速連写機として特化した商品構成となっている感じです。
コンパクトなAPS-C専用レンズでハイクラスのものがラインナップされていなかったり少なかったりします。
特に望遠レンズは専用のものが少ないです。フルサイズ用レンズのテレコンバーターがわりにAPS-C機を使ってねという感じです。
APS-C機でハイエンドクラスの望遠レンズを使おうと思うとフルサイズ用のものしかなく、せっかくセンサーサイズが小さくても小型や安価という恩恵が受けにくいです。
なんだか目上のフルサイズに遠慮している感もあります。
フジフイルムはAPS-Cがメイン
その点、富士フイルムはAPS-Cが主力(フルサイズより大きな中判はあるが)なので、中判との住み分けも明確で、APS-Cで惜しみなく機能性能を盛って来ています。
マイクロフォーサーズにおけるオリンパスとパナソニックも同様、ボディもレンズも力を出し切っています。レンズの質感もキヤノン、ニコンなどよりすごく良いです。
マイクロフォーサーズはボケない?
同じ画角で同じF値のレンズを使った場合、センサーサイズが小さいほどボケも小さくなります。
ただ、APS-CやマイクロフォーサーズでもF1.2〜1.8などの大口径レンズを使えば、いかにも一眼レフで撮影しましたというようなボケ量にはなります。
実際マイクロフォーサーズでも中望遠(実焦点距離40mm前後)〜望遠で、F2.0より明るい大口径レンズがあれば、ポートレートなどでも十二分なボケ量を得られます。
あと、マイクロフォーサーズは寄れるレンズが多いので、被写体によってはぐっと近づき、背景との距離をとることで大きくぼかすこともできます。
E-M1 markII + 42.5mm F1.2 Nocticron
手ブレ補正なんて付いていれば同じでしょ?
直接的なセンサーサイズの話ではありませんが、多くのマイクロフォーサーズ機に搭載されているセンサー手ブレ補正がとても優秀です。
フルサイズやAPS-Cにも手ブレ補正付きのカメラは多くあり、「どれも同じでしょ?」なんて思われますが、これについてはNOです。数値として4段分5段分の補正などとうたっていても、あくまで目安にすぎないのが実感です。
ブレないという絶対性能はオリンパスとパナソニックのマイクロフォーサーズ機が飛び抜けて高いと感じています。(もちろん機種の性能差はあります)
同じ段数分の補正をうたっていても、マイクロフォーサーズ機は手ブレ補正の効きが有利な印象です。
マイクロフォーサーズの方がノイズ(高感度、長秒)に弱い?
基本的にはセンサーサイズが大きい方が光を受ける面積が大きい分同じISO感度でのノイズは少ないと言えます。
なので、暗所で動体を撮影するようなISO感度を上げざるをえないような状況ではフルサイズが有利だと思います。(これももちろん技術的な差がなければの話ですが)
実際手持ちで撮影してみると気づくのですが、フルサイズでパンフォーカス(全体にピントが合っている状態)気味に撮ろうと思うと、広角でもF16くらいまで絞らないといけなくなる場合が多いので、シャッタースピードが遅くなり手ブレを防ぐためにISO感度を上げざるをえない状況が多々あります。
そうなると逆にF8でほぼパンフォーカスになるマイクロフォーサーズと強力な手ブレ補正ならISO感度を上げる必要がないのでノイズが少なく綺麗に撮れる場合が多いです。
過焦点距離((無限遠までピントが合う一番手前の距離。センサーサイズ、F値、焦点距離、画素数によって計算できます。アプリを使うと便利です「DoF Table - 被写界深度計算アプリ」をApp Storeでを見定めればF5.6でもかなりの範囲をピントに収めることができます。
マイクロフォーサーズだとこんなに奥行きがあってもF8でパンフォーカス
三脚を使い動かないものを撮るのであれば、ISO感度を上げる必要がなくノイズの差はあまりありません。ただし今度は長秒ノイズが出てきます。
星の撮影や海や滝などで長秒露光する場合の長秒ノイズもマイクロフォーサーズは多く出やすいです。(長秒ノイズ軽減をONにすると回避できますが撮影時間が倍になります。ダークフレームを撮って後処理(ダーク減算)する方法も一般的ですが、筆者の腕不足なのかあまりうまくいった試しがありません😂)
www.toshiboo.com
一眼レフ?ミラーレス?
センサーサイズと関係ない部分ではありますが、マイクロフォーサーズということならミラーレス一択になります。
フルサイズやAPS-Cだと一眼レフもありますが近年はミラーレス機が増えてきました。どちらも選択できます。
一眼レフとミラーレス、使い勝手に大きく差があります。
実際のレンズからそのままの光がファインダーに映し出される一眼レフの光学ファインダー(OVF)は覗いて美しいと思えるシーンが多いです。反応速度に遅延もありませんので動き物も楽に追えます。
ミラーレスの電子ビューファインダー(EVF)はファインダーの中で拡大やピーキング表示ができてMFでのピント合わせがとても楽です。
自分のように目が悪い(近眼、乱視)とOVFよりEVFの方が見やすいと思います。
ただ、反応速度の早いEVFでないと動体を追うのに違和感があったり難しかったりします。逆光時は多少見えづらいこともあります。
ミラーレスだと、撮影結果(露出シミュレーション)を見ながら撮影が可能です。逆光時などOVFだとある程度経験値を元に感で露出補正をして、とりあえず一枚撮影してプレビューを見て確認したりしますが、ミラーレスだと最初っからその撮影結果の明るさが見えているので露出の失敗はほとんどありません。
で、結局どれを買えばいいの?
ポートレート、星を撮りたい、画質を追求したい、
予算と重さに糸目をつけない人
フルサイズ
とにかく画質を追求したい
レンズ(特に望遠)が大きく重たくなっても平気
ボケやすいのでポートレート向き
ISO感度ノイズ耐性が強いので星の撮影や屋内スポーツ撮影、ライブ撮影に有利
フルサイズレンズでより望遠の高速連写をしたい、
フルサイズへのステップとして気軽に始めたい人、フジ使いたい
APS-C
フルサイズへのファーストステップとして
フルサイズのサブ機や連写特化機として
フジフイルムの色が出したい
様々な撮影にチャレンジしたい、
レンズを含め軽量なシステムを組みたい人
マイクロフォーサーズ
比較的手軽に超望遠にチャレンジしたい
三脚より手持ち撮影が好き
とはいえ、フルサイズでスナップ撮っても良いですし、マイクロフォーサーズでポートレートもすごくいい感じで撮れるんですけどね。
まあ、こう選ぶ方がよりちょっと良いかなぁという感じです。
ぶっちゃけ現代の一眼カメラなら、どれで何撮ってもだいたい綺麗に撮れますよ(笑)
ありきたりな内容になってしまったので、独断と偏見で自分の買いたい機種を上げてしめようと思います。
独断と偏見のセレクト機種
フルサイズ
Sony α7 III
レンズラインナップや堅牢性に若干不満や不安はあるものの、マウントアダプターを使い他社レンズ、オールドレンズをフルサイズで楽しむという遊びもできます。
発売から年数が経つもののいまだ人気は衰えません。
価格は多少こなれてきておりますので買いやすくなりました。
一つ難を言えば、操作系(感)やグリップなど筆者にはしっくりこなかったです。
慣れと工夫(延長グリップをつけるなど)があれば乗り越えられそうではありますが。
Nikon D800E(中古)
まあ、自分が悩んだ挙句購入していますので(^^; 中古なのでお財布に優しいです。
高画素高画質、壊れなさそうなNikon、豊富なFマウントレンズ。
ただし連写は遅いです。
APS-C
Fujifilm X-E3
安価にフジの色を楽しめる。超コンパクトながら性能は上位機種同等。ってか調べるとXシリーズってどれも性能ほぼ一緒?!
実はこれが一番欲しかったりします(笑)
Canon EOS Kiss M
キヤノンエントリー機として最適。キヤノンらしくそつなくよくできた機能構成だと思います。
追記:GX7 markIII、E-M10 markIIと比較しましたが短期間の比較では少し振るいませんでした。使いやすさの点ではなかなかよかったです。
マイクロフォーサーズ
パナソニック G9 PRO
自分が所有するE-M1 markIIより、すべてが少しずつ上(笑)
ハイレゾショットがすごい。連写もすごい。
その後購入して、筆者のメインカメラとなっています。
ファームウェアアップデートで動物認識AFなども搭載されさらに機能が充実した
非常に高機能高性能なカメラです。それなのに価格は安いので超おすすめです。
オリンパス OM-D E-M10 Mark II EZダブルズームキット
ちゃんとカメラをやりたい入門用に最適。一つ型落ちだけあって超お買い得。(201911現在在庫限り。価格コム最安値は5万円前後)
パナソニック LUMIX GX7 markII
これもコスパが高くおすすめです。(201911現在在庫限り)
自分が買い直すなら?
再びとりとめもなくなってきましたが、もし自分のカメラ機材が全部なくなって再び買い直すとしたら、また様々な撮影にチャレンジする気にさせてくれたマイクロフォーサーズ(E-M1 markII or G9 PRO)を選ぶんじゃないかと思います。
トータルバランスでとても優れたシステムだと思いますよ。
思いの外長くなってしまいましたが、 こんなとりとめもない話をここまで読んでいただきありがとうございました。多少の参考にでもなれば幸いです。
どのセンサーでもきれいに撮れるので、早く買って撮影を楽しみましょう〜(笑)
↓ 良いレンズをそろえるとそれぞれいくらになるか妄想してみました!