【2022年4月15日更新】
2回にわたってフルサイズとマイクロフォーサーズの比較をしてみましたが、その差はいかがでしたでしょうか。
いやいや、ボケ味ならやっばりフルサイズが美しいはず〜!と言うことでLUMIX S1RとG9 PROそれぞれ大口径単焦点レンズで撮り比べてみました。
おかげさまで前回、前々回のLUMIX S1RとG9 PROの撮り比べ記事が好評で多くの方に読んでいただけました。ありがとうございます。
前回と前々回の記事を簡単にまとめると、手持ちスナップでも暗所手持ちスナップでもフルサイズが必ずしも有利とはいえない内容に。
特に暗所でF4のレンズを使う限り2段分以上ISO感度が上がってしまうフルサイズの方が意外とよろしくない結果となってしまいました。多くの皆さんも同じように感じていただけたのではないでしょうか。
もちろん画素数自体の違いもありますので解像度による違いはありますが、その実力を測るには等倍鑑賞やトリミングなどが必要となりますし、暗所では三脚を立てての撮影が前提となるでしょう。
ただし撮影体験は圧倒的にLUMIX S1Rが優れていて、EVFの美しさやボディの頼もしさが飛び抜けています。
「日中暗所スナップ」はわかったからマイクロフォーサーズはボケないんだろ?!大口径レンズも試せよ!ということで炎天下の「とっとり花回廊」に行って撮り比べしてみました。
マジで暑すぎたのでソフトクリーム食って秒で帰りました…
それぞれの大口径レンズはどれ?
ともに標準50mm大口径の本命となるレンズをご用意しました。
G9 PRO には M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROを
レンズ単体
- 重量 410g
- 価格 14万2,560円
G9 + レンズ
- 重量 1068g
- 価格 30万3,297円
S1R には LUMIX S PRO 50mm F1.4を
レンズ単体
- 重量 955g
- 価格 25万3,930円
S1R + レンズ
- 重量 1971g
- 価格 70万9,330円
(いずれも価格は2020年8月31日現在 マップカメラ)
双方とも贅沢すぎる50mm単焦点レンズでございます。(35mm換算)
この日、首からぶら下げていた鉄とガラスの塊の合計額が100万円を超えていたようです😨😱
カメラって恐ろしいですね。(実際にはほとんど中古ですのでここまで行ってませんが)
重さにして903g、金額にして40万6,033円もの差が、どう画質に現れるのか検証してみたいと思います。
作例比較
設定など
今回も厳密な比較というよりかは、2台持ちのスナップという感覚で、画角も構図も微妙に異なるものです。
- JPEG撮って出し
- フォトスタイル スタンダードそのまま
- iDレンジコントロールや超解像、シェーディング補正など諸々OFF
- G9 PROは3:2で撮影
- 基本絞り優先オート ISOオート
どっちがどっち?
前回同様、機種名を伏せてどっちがどっちの写真だか当ててもらおうと思います。企画ですんで、めんどくさいと言わず何とぞお付き合いください。
ファイル名に機種名を入れた写真をフリッカーにアップしてるんで、パソコンだとマウスオーバーで答えが見えます。
スマホだと写真をタップしてそのまま少しスクロールするとファイル名が表示されると思います。
【追記:フリッカーからの貼り替えのため、キャプションに答えを書きました。】
まずは被写界深度が同程度になるようG9 PRO +M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO は開放 F1.2、S1R +LUMIX S PRO 50mm F1.4 はF2.5で撮ったものをシャッフルして並べてみます。
流石に、マイクロフォーサーズのF1.2とフルサイズのF1.4の比較では即バレでしょうからね…。 ただ、LUMIX S PRO 50mm F1.4は絞った分、画質面で有利かもしれません。
F1.2とF2.5で比較
絞ってみてどっち?
ちょっと絞ったやつも何枚か(S1RはG9より2段絞っています)
手持ち1秒で比較
双方とも手持ち1秒とか軽く撮れてしまいます(両方F16、ND64使用)
両方とも開放で比較
いかがでしょうか。
続いては両方とも開放にて撮影してみました。
流石にこれはすぐわかると思います。
流石にフルサイズのF1.4とマイクロフォーサーズのF1.2ではボケ量が違いますね。
これほどぼかしたければやはりフルサイズを選択する必要がありそうです。
あとはフォクトレンダーのNOKTON 25mm F0.95 …でもまだ及ばないかもしれません。
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROの柔らかで滑らかなボケ描写もかなり素晴らしいんですがね。
マイクロフォーサーズは寄れるからボカしやすいし楽しい
ただ、以下の作例のように最短撮影距離及び最大撮影倍率がかなり違います。
両方とも最短撮影距離付近で撮っています。
このレンズに限らずマイクロフォーサーズのレンズは最短撮影距離が近いものが多いです。 近寄れる被写体に対してはよりボケを生かした構図が作りやすいというメリットもマイクロフォーサーズにはあります。
もちろん、同じ場所同じ距離で撮ればボケ量は違いますが、寄れる分、案外マイクロフォーサーズの方が楽しかったりしました。
下のような中距離で奥行き感を出そうと思うとフルサイズのボケの表現力がかなり生きてきます。両方開放での撮影です。
ダイナミックレンジはどうよ
今回、割と明暗差のある写真が多かったと思いますが、正直ダイナミックレンジの差を明確に感じるものはありませんでした。
マイクロフォーサーズの最低感度はISO200となっており、センサーサイズの小ささによるダイナミックレンジの狭さをカバーしています。それを含めた画像処理もありJPEG撮って出しではなんら遜色のないものとなっていると感じました。
厳密にヒストグラムでも比べたり、RAWで極端にいじるなら違うのかもしれませんが、JPEG撮って出しの見た目でダイナミックレンジが悪く思えるものはありませんでした。
唯一、噴水の1秒露光写真でG9の方に白飛びっぽく見える部分がありますが、これは拡張ISO感度のISO100にしてしまっているせいが多分にあると思います。
オリンパスのレンズはイエローがかる?
ちょっと余談になりますが、一通り見ていただいてG9 PROの色がイエローがかっていると感じるかと思います。
これG9にてM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.を撮り比べた時も感じたのですが、どうもオリンパスのレンズがイエローがかって見える傾向があるような気がします。
逆にいうとパナソニックの方がシアンが強いというか、イエローが抜けているというか。
今回に関してはそれぞれボディも違いますが、前々回のテストでは感じなかった色の傾向ですのでレンズ起因と考えて良さそうです。
どっちが良いか悪いかってことはなく、風景なんかだとパナの方がスッキリしそうですしポートレートや料理なんかだとオリンパスの方が合いそうと言える気がしますけど、なんかイメージは逆のような気もしますね(笑)(オリンパスの方が風景に合いそうなイメージ)
以上余談でした。
まとめ
という感じで、今回はボケの違いをフルサイズとマイクロフォーサーズで比較してみました。
ボケないと思われているマイクロフォーサーズでもレンズ次第で十分ボケますが、フルサイズの大口径レンズのようなボケ量までには及びません。
ただやはりマイクロフォーサーズは寄れるレンズが多いので工夫次第ではより良いボケ表現も可能ですし、特にこういった撮影では寄れることがとても楽しいです。
中距離でのボケが意外とマイクロフォーサーズでは出しにくいんじゃないかなと思いました。いわゆる“空気感”みたいなモノに繋がるんじゃないですかね〜。そんな気がします。(笑)
個人的にもフルサイズを使いたい衝動は、そういう表現を欲しているのかもしれません。今回のテストで改めてそう感じました。
価格差なんと40万円
冒頭にも書きましたが、この組み合わせでは40万円の価格差があります。
このボケにその価値があるかどうかを決めるのあなた次第…(毎回言ってる)
重量差もほぼ倍ですからね。正直S1RとLUMIX S PRO 50mm F1.4の組み合わせのスナップはちょっとしんどかったですw
次回予告
日中、暗所、大口径レンズと比較してきましたこのシリーズですが、いかがでしたでしょうか。
正直、この画像結果の比較だけ見てたら筆者ですらS1Rを買おうとは思いませんw
ではあと、何を比較したら筆者がS1Rを買ったことを後悔しないで済むのか…
三脚を据えて明暗差のある風景撮影でRAW現像
星景での長秒撮影(固定、赤道儀)
この辺りでしょうか。
次回はいつになるか分かりませんが、機会を見つけて撮影に行ってみたいと思います。
しかし、G9 PROすごすぎるんですよね。
EVFと操作系がS1R同等となったG9 PRO2 (G10?)が出たら飛びつきたいところですが、そんな噂は微塵も聞こえてきませんね…。