前回の記事にて紹介させていただいたレンタルサービスの「レンタマ」からお借りした Canon EOS Kiss M ダブルズームキット のレビューしたいと思います。
所有するパナソニック LUMIX GX7 markIII と これまた別口からお借りしたオリンパス OM-D E-M10 markII タブルズームキットと比較したいと思います。
EOS Kiss M レビュー
EOS Kiss M は 2018年3月に発売された、キヤノンAPS-Cミラーレス一眼の最新機種になります。
以前 Canon EOS M(初代)をとっても気に入って使っていたので気になってたんですよね。
簡単にスペック紹介
簡単にスペックを説明します。
有効2410万画素
バリアングル液晶 3インチ 104万ドット
EVF 約236万ドット(倍率非公開)
AF測距点 最大143点(しかし、1点、ゾーン、顔認識しか選べない)
AF追従連写速度 最大約7.4コマ/秒(連続撮影枚数10枚RAW)
重量390g
質感
質感についてはどこからどう触ってもおもっきしプラスチックで、ちょっと安っぽく感じてしまいます。
ボタンの感触も正直なところいまいち。いずれもコストダウンの影響を感じます。さすがキヤノンと言うべきか。
ただし決して作りが雑なわけではなく、軽量化のための割り切りだとも思えます。
造形や細部のデザインについても全然悪くなく、キヤノンらしく程よいモダン加減で好みとしてはかなり好きです。
操作性
操作性については、あくまでエントリー機であるということでこれで正解なのでしょうが、普段中級クラス以上を使っていれば、かなり戸惑うことでしょう。
とはいえ基本的にはタッチ液晶で何とかなるのですが、1ダイヤルしかなくボタンも少ないため直感的とは言い難く、設定変更までのステップ数もおのずと増えてしまいます。タッチパネルの反応が良いのが救いです。
ただもう一つ救いとしては、ボタンのカスタマイズが十字キーを含めてできるので、自分の使いやすいように設定すれば操作性の難点はかなり解消できると思います。
できればなんとか、もう一つダイヤルが欲しかったとこですが。今までのEOS Mシリーズには背面電子ダイヤルがあったのですが…。
そこはやはりコストとの兼ね合いでしょうね。
グリップがとても良い
グリップは非常に良いです。
このコンパクトサイズからは考えられないほど手にフィットしてしっかりホールドできます。
カメラとしてとても重要な部分です。さすがキヤノン。
EVF
EVFはあまり良くない印象でした。
解像度や倍率というより、コントラストがきつくて見るに耐え難かったです。
これはもしかしたら、設定項目があるのかもしれませんが、あまりよろしくないGX7 markIIIやE-M10 markIIのEVFと比べてもさらに良くなかったです。
暗所AF
暗所どころか、本を読むのも全く問題ない程度、普通よりほんの少し暗いくらいの部屋で、1点AFが全く合いません😅
ゾーンAFにすればなんとかどこかに合いますが…
GX7 markIIIでもE-M10 markIIでも全く問題なく通常のAF速度で合うのですが。
これは結構、困ることがあるんじゃないでしょうか。
もちろん、キットレンズはF値が大きく暗いのはわかるのですが、それにしてもこれでは困りますね。
AFエリア
1点、ゾーン、顔認識の3つのAFエリアが選べますが、
1点のAF枠は大きくてピンポイントではありませんし、ゾーンはほぼ画面全体なんですよね。それ以外選べない…
マクロや動体など、ちょっと困るシーンが出てきそうです。
vs GX7 markIII vs E-M10 markII
と言うわけで、EOS Kiss Mの悪口 もほどほどにしておきます(笑)
カメラは画質で勝負だ!と言うことでテスト撮影をしてきました。
一応マイクロフォーサーズ陣はオリンパスのキットレンズを使いましたが、あくまでレンズが違いますので、その差も大きく現れると思います。
価格およびスペック比較
ざっくりスペックと価格を表にしました。
センサーサイズはEOS Kiss M がAPS-C、GX7 markIII と E-M10 markIIはマイクロフォーサーズになります。
E-M10 markII は2015年発売ということで1世代古く、画素数も少ないです。
外観比較
E-M10 markIIの方が一回りコンパクトなため、たった12グラムの違いながらずっしり感があります。
GX7 markIIIは一回り大きくかなり重いです。スクエアというかレクタングルなフォルムですので収まりは悪くありません。 (画像のGX7 markIIIは別売りの大型アイカップを装着しています。これがかなり邪魔ですが😅)
沈胴式レンズ
EOS Kiss Mダブルズームキット の標準ズームであるEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMは沈胴式で、使用しないときはコンパクトに格納できます。
ただ、これが手動な上ロック解除がいるのでとても煩わしいです。
ま、よくある機構ですしコンパクトなのはいいんですけどね。使うときはずっと格納させなければいいだけですし。
一方、E-M10 markIIレンズキット付属のM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZは同じ沈胴式ながら電動です。ズームの電動は狙ったとこに止まらなくてうんこですが、格納は電動に限りますね。電源オンとともにレンズが繰り出します。
画質比較
さていよいよ画質の比較です。
若干画角が違ったりしてますがご容赦ください。
基本的にはマニュアルモードで露出を合わせてRAW撮影し、Lightroomからそのまま(Adobeカラー)にてJpegに書き出しています。
標準ズーム広角端
まずは標準ズームの広角端で撮影したもの全体をそのままの大きさで並べました。
ついでにGX7 markIIIには LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0の組み合わせでも撮影してみました。
F5.6まで絞っていますが、EOS Kiss M EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMは周辺減光が目立ちます。
中央部をE-M10 markIIの大きさに揃えるよう他の画像を縮小しトリミング後並べました。
これは波の被り具合も違っているのでしょうが、絵作りの違いもありGX7 markIIIがかなり暗いです。 解像感的にはどれも良い感じです。
中央少し右上部分を同じようにトリミングしました。
コントラストの低さも手伝ってEOS Kiss Mの描写は繊細に解像されているように見えます。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0はめっちゃカリッカリですね。
EOS Kiss M EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMの左側は個体差なのか片ボケのように流れてしまいます。
望遠ズーム望遠端
続いて、EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STMの望遠端におおよそ画角を揃えて撮影しました。
これも被写体をE-M10 markIIの大きさに揃えるよう他の画像を縮小しトリミングしています。
これもコントラストの違いが大きいですが、比べれば若干EOS Kiss Mがのっぺりとした描写に見えます。
いずれも、絵作りの違いが目立ちすぎてなかなか解像具合を判断しにくいです。
あと、屋外で自然物を撮ってしまったためどうしても全く同じ条件とはならなかったので、反省してます😅
GX7 markIIIは「かすみの除去」をかけたかのようなハイコントラストでダイナミックな絵作りです。
EOS Kiss Mはコントラストは控えめで線が細く見えますが、よく見るとのっぺりに感じる部分があります。引きで見たときのバランスは悪くないです。
ローパスフィルターの有無
忘れていましたが、この3機種のカメラにはローパスフィルターの有無の違いがありました。
ローパスフィルターによってモアレの発生を防ぐことができますが、解像に影響が出るため最近のカメラではローパスフィルターレスが多くなっています。
EOS Kiss M ローパスフィルターあり
GX7 markIII ローパスフィルターレス
E-M10 markII ローパスフィルターレス(たぶん)
E-M10 markIIについては記載がないのですが一世代前のE-M10 がローパスフィルターレスでしたのでそれに準じていると予想します。
比較してEOS Kiss Mで少し解像ぐあいが眠く見える部分があるのは、ローパスフィルターの影響もあると思います。
EOS Kiss Mのキットレンズ
この撮影に限らず、EOS Kiss Mのキットレンズ、特にEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM は開放付近でのにじみが大きく描写も甘く感じました。
そもそも暗いF値ですので開放で使わざるを得ないシーンも多く今時のレンズにしてはちょっと残念な印象でした。
ほぼ中央部でトリミング。 フレアというかにじみがあり描写も甘い。
高感度テスト
では最後にISO感度を変え室内で撮影したものを並べてみました。 縮小はかけずにトリミングしています。
EOS Kiss Mにセンサーサイズのアドバンテージがあると思いきや、マイクロフォーサーズ両機の方が1段分はノイズも解像も良く見えます。
特にGX7 markIIIがよく、比べるとEOS Kiss Mより1.5段分くらい良いのではないでしょうか。
ホワイトバランスはいずれもオートですがGX7 markIIIはとても安定しています。
まとめ
ちょっとEOS Kiss Mの悪い部分が目立つような内容になってしまいましたが、やはり正直なとこ自分で買うとこはないかなーという感じです。
自分も触るのを楽しみにしていて、発売当初から大手サイトの絶賛記事も多かったのでかなり期待していましたが、それを鵜呑みにするのはちょっと考え直した方が良い感じです。
とはいえ全然悪かったかというとそうでもなく、特にグリップとバリアングル液晶と軽量な点はとても良く、なんだかんだカメラの基本として重要な部分です。バリアングルは完全に好みですけど。
純正マウントアダプターを使って豊富なEFレンズで撮影するという楽しみもありますしね。
キットレンズの写りはもう一つでしたけど、描写についてはレンズ次第でなんとでもなるでしょう。
今回はレンタルで実質1日での比較でしたのでまだまだ、例えば瞳AFや連写や動画撮影など知りえてないEOS Kiss Mの良い点があるかとは思います。
しかし、このカメラがこの値段でこれほど売れているという事実がキヤノンのすごさであり恐ろしさだなと思いました。
それに引き換え、パナソニックは…😅
株を買うならキヤノンでしょうか(笑)