パナソニックLUMIX G9 PROとオリンパスOM-D E-M1 markIIはどっちが良いのか? なんて質問をいただきました。
記事としては一通り書いていると思いますが、改めてまとめとして答えてみたいと思います。
筆者としても、E-M1 markIIはシルバーモデルが発表(2019年2月22日発売)され、再び気になってしまっています😅
両機とも所有している時期がありまして、様々な比較をしてきましたが、結論から言いますと自分の手元にはLUMIX G9 PROの方が残りました。 まあ、そう言うことです。
ただ、それも甲乙つけがたいほどの僅差でした。
いろいろな面でほんの少しずつLUMIX G9 PROが優れていたと言う感覚ですが、G9が劣っている点もあるので、 もう少し細かくどういった面でどう優劣があったのか書きたいと思います。
LUMIX G9 PROが優れている点
操作性
操作性が良いと言うのがG9 PROを残した理由としてもっとも大きい点かもしれません。
3ダイヤルで絞り、シャッタースピード、ISO感度を素早くコントロールでき、単機能で独立したボタンやレバー、ダイヤルで直感的にドライブモードやAFモード、その他設定を切り替えるとこができます。(ダイヤルのカスタマイズも可能です)
間違いなく、今まで使ったカメラの中でダントツの操作性です。
やはり、使っていてストレスを感じなく、気持ちよく撮影できることは細かなスペックよりも重要です。
E-M1 markIIの左肩でのドライブモードやAF切り替えが(同じ場所に2つボタンがあってそれぞれ押した後でさらに前後ダイヤルで違う設定を切りかえる)混乱必至で何回やっても間違えるのでちょっとストレスでした😅(自分の能力不足は置いといて)
カスタムしても誰でも使える
G9 PROはFnボタンもハードキーで14箇所、タッチパネルに5箇所あり、かなりのカスタマイズが可能です。
それでいて、ゴリゴリにカスタマイズしても普通に誰でも使えてしまいます。
それはなぜかと言うと基本機能ボタンは独立していてカスタマイズできないんですよね。
自分はISO、露出補正など他のダイヤルに割り当てているので、前ダイヤル手前のボタンは無駄になってしまいますが、そこを押せば確実にその設定が変更できます。
E-M1 markIIなんか全部カスタマイズできちゃうので、自分でもよくわからなくなることが多々ありました(笑)
大型EVF
G9 PROは約0.83倍(35mm判換算)の368万ドット OLEDファインダーが搭載されています。
糸巻き型の歪みが見られるのが残念ですが、大きく美しいEVFは撮影の楽しさにとても直結します。
E-M1 markIIも悪くはないのですが、今となっては流石に一世代古い感が否めません。
画質
これはどちらかと言うと好みの問題ですし、腕さえあればRAWで撮って後からどうにでもできることではあります。
E-M1 markIIはカリカリにシャープでくっきりで線は太めという印象ですが、G9 PROはそれに比べ少し繊細で柔らかい印象です。
特にG9 PROとパナライカレンズとの描写のマッチングがとてもよく感じました。
パナライカ、特に単焦点レンズは解像が良いのもさることながら、とても雰囲気の良い深い色が出ると感じています。
G9 PROのそれは、その描写をさらに引き立ててくれます。
ハイレゾモード
センサーをずらしながら8回撮影し8000万画素相当の高解像度画像を生成するハイレゾモード(ハイレゾショット)。
解像感だけでいえば、圧倒的にG9 PROが優れています。
E-M1 markIIは水面など微動する被写体に対してモザイク状の違和感が出ないようにわざとそう言う処理をしているらしいです。
G9 PROでもその違和感を感じることはほとんどないものの等倍で波際を見ると時々モザイク状のノイズのようなものを見つけるのでその効果はあるのでしょう。
ただ、せっかくのハイレゾショットの解像感が損なわれると言うのももったいないです。
長秒ハイレゾショット
残念ながらG9 PROのハイレゾモードでは1秒までしかシャッターを開けることができません。
E-M1 markIIに関してはハイレゾショットのシャッタースピードは60秒まで選択できます。
ただし例えば60秒シャッターを開けようとすると60秒×8枚+処理時間がかかります。その撮影の間0.数ピクセルぶんもブレは禁物ですので意外と解像感も上がらず非現実的なんですよね。
とはいえ2、3秒程度は開けたいシーンも多いので、G9 PROももうちょっとなんとかして欲しかったところです。
AF追従性能
これについては以前検証をしたところ、G9 PROがちょっとだけ良いと言う結果でした。
ただ、先日(2019年1月)白鳥を撮影し、家に帰ってMacに取り込んでみたら、その合焦率の高さにびっくりしました。
同時に同条件で比較していないこともあり、あくまで感覚的な判断となりますが、E-M1 markIIで撮影した時よりかなり良いと思いました。
瞳AFと人体認識【追記】
すっかり 瞳AFと人体認識 のことを忘れていました。
これもG9 PROの方が大きく優れています。
E-M1 markIIも実用上問題なく使えるんですが、G9 PROと比べると認識や食いつき具合が物足りません。
雑誌「CAPA2018年8月号の瞳AF徹底チェック」や「カメラマン2019年2月号の室内ポートレート 顔(瞳)認識AF比較」でもソニーα7R IIIに並んで最高評価でした。
あと、人体認識ですが人が横や後ろを向いていても認識しフォーカスを合わせてくれます。びっくりです。
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OM-D E-M1 markIIが優れている点
ボディサイズ
G9 PROのボディサイズはマイクロフォーサーズにしては大きいです。とはいえ自分としては全然許容範囲なのですが、E-M1 markIIにコンパクトなレンズを装着した状態はほぼ(ハイクラスな)コンデジです。
普段はE-M1 markIIに縦グリップをつけていたので、たまに外した時のコンパクトさにさらなる感動を覚えました。
手ブレ補正
手ブレ補正について検証した時点では M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO と LUMIX G9 PRO との組み合わせが一番良いというある意味謎結果が出ました。
普段使っている限り大差は感じません。やはりちょっとG9 PRO と 12-100mm F4.0 IS PROが良いような気はします。
しかし4秒を超えるような変態手持ち長秒撮影ではE-M1 markIIの方が圧倒的によかったですね。
この辺になると手ブレ補正の効果というより、コンセプトとかアルゴリズムの違いとかそんな感じだとは思います。ちょっとした角度によっても違うかもしれません。
E-M1 markII と M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO のつもりで手持ち長秒に挑むと G9 PRO と LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 では大概惨敗します😅
グリップ
こんなにコンパクトなのに、形状がとてもよくグリップ具合が非常に良いです。
厚さはなく深さがあるのですごく指への引っ掛かりが良いです。
E-M1 markIIを手放すのに一番惜しかった部分かもしれません。
G9 PROのグリップが悪いわけではないのですが、E-M1 markIIが良すぎるんですね。
縦グリップも良い
逆に大きいレンズをつけた時のバランスを考えると縦グリップは必須とも思えます。
その縦グリップをつけた状態でもとても使いやすかったです。
縦方向もさらに握りやすいです。
一方、G9 PROの縦グリップは、ちょっとAELボタンの位置が悪すぎて、親指AFするのが困難なくらいです。
高級感
デザインもE-M1 markIIの方が一枚上手に感じますが、各パーツの感触もE-M1 markIIの方が高級感を感じます。
G9 PROはダイヤルを回す"アタリ"で、いかにもプラスチックという感触が手に返ってきます。
とはいえ、触るたびに残念な感じがするほどでもないのですが。
G9 PROだって自分の所有するNikon D800Eあたりと比べたら全く遜色ありません。
E-M1 markIIが出来すぎなんですよ。
バッテリー性能
これも先日のG9 PROでの白鳥撮影で気になったのですが、3時間ちょいでバッテリー1.5本分使ってしまいました。
EVFを120fpsの設定、手ぶれ補正付きレンズでほぼ半押し状態で1600枚近く撮影しましたが、感覚的にこの消費はちょっと早いなという感じです。
条件は違いますがE-M1 markIIでは、電子シャッターで4000枚以上撮ってます。ただ、その時はほぼプロキャプチャーの高速連写でしたし、バッテリー残量がどの程度だったか覚えていません😅ごめんなさい。
これほど枚数撮影しなくても、普通にスナップで歩いていてもG9 PROは減りが早いという印象です。 自分の用途だと通常困るほどではありませんが、常に予備バッテリーは持ち歩かないと不安なレベルです。
カタログスペックとして撮影可能コマ数はE-M1 markIIが440枚、G9 PROが380枚となっていますが、その数値以上に E-M1 markIIの方が持ちが良いと感じます。
熱カブリ
E-M1 markIIが良いと言うよりG9 PROの欠点ですが、G9 PROは5分露光にて熱カブリがみられました。
E-M1 markIIの方がノイズ自体は多いです。
長秒ノイズ軽減を使えばG9 PROの熱カブリも消えます。
ダークフレームできちんと後処理ができるのであれば、E-M1 markIIの方が長秒ノイズ軽減(撮影時間が倍かかる)を使わなくて済むので使い勝手は良いかと思います。
個人的にはタークフレームでちゃんとノイズが消せたことがないのですが😅
連写速度がカスタマイズできる
E-M1 markIIだと、電子シャッターでの連写速度が任意に設定できるんですよね。
E-M1 markIIのAF追従18コマ/秒は早すぎるので、10〜14コマ/秒に落として使っていました。
メカシャッターでもいいじゃんと言う感じですが、シャッター全押し前に遡って撮影できるプロキャプチャーモードを使いたいんですよね。 これだと電子シャッターになります。
ところがG9 PROのAF追従だと20コマ/秒固定。
あっという間にバッファが詰まりますし、撮れすぎて帰ってから大変です😭
と言うわけでE-M1 markIIの方が融通がきいて使いやすかったです。
カスタムモードで全設定一発呼び出し
E-M1 markIIのカスタムモードでは、とっさに鳥が撮りたくなった時用に、AFCやプロキャプチャーを露出やモードなとと合わせて事前にカスタムモードに登録して呼び出すことができます。普通です。当たり前です。(ですよね?)
これがG9 PROではできないんです。 カスタムモードはあるのですが、AFモードやドライブモードがダイヤルとして独立しているため、各ダイヤルボジションと実設定との一致のためにカスタムモードでは変更されません。
まあ、これはこれで正解なんですよね。実設定とダイヤル表記がずれているのもUIとしてどうかということになりますし。
悩ましいとこです。
大デフォーカスからのリカバリ
これはやはり、像面位相差AFであるE-M1 markIIが有利なのかなと思います。
当然、像面位相差だろうが大きくピントを外した状態からの復帰って工夫がいるんですが、G9 PROだとかなり大きく被写体でフレームを埋めないとピントが来てくれません。特に被写体が線の細い自然物の場合、極端に合わなくなることが多いので、地面や壁、または一時MFにて合わせるしかなくなります。
E-M1 markIIの良い点というかG9 PROの欠点なんですが。
USB Type-C
E-M1 markIIのPCとの接続端子はUSB Type-Cです。いいですね汎用性があって。
G9 PROの端子はUSB3.0 Micro-B
せっかく、USB充電/給電ができるというのに別途こいつのためだけにケーブルを持ち歩かないといけません。
2018年1月発売のカメラなんだからType-Cにしてくれればよかったのにと思わざるを得ません。
まあ、E-M1 markIIはボディ内充電できないので一長一短というとこでしょうか。
【追記】USB3.0マイクロBタイプのメスの太い側に普通のマイクロUSBのオスを挿すことができることが判明しました。 通信スピードは遅くなるものの充電も問題なく可能です。
持ち運ぶケーブルは通常のマイクロUSBでよかったと言うことです。早く取り込みたかったらUSB3.0マイクロBタイプを使うと言う選択肢があるのでむしろ良心的でした。
まとめ
以上ざっと思い当たるところを書いてみました。
どちらかというと後半はG9 PROの不満点を列挙するような形になってしまいましたが😅
感じた違いはこれくらいで、冒頭にも書いたようにほとんどの優劣は僅差です。
レンズ
自分は今のところどちらのカメラに異なるメーカーのレンズをつけても動作的に悪いと思ったことはありません。
というのも所有レンズは比較的お高めのレンズが多くて、AF駆動が早くて足かせになっていないということがあるかもしれません。
個人的にはパナライカの「ちょっと隙があるけど、色気を感じる写り」(なんだかよくわからない)がとても好みです。
もちろん、E-M1 markIIにパナライカをつけていた頃もなんのトラブルもありませんでしたが、より確実なAF速度や安定性を求めるなら同一メーカーに揃えるべきかもしれません。
とはいえ 12-100mm F4.0 IS PRO や 7-14mm F2.8 PRO も G9 PRO で欠かせないレンズになってますけどね。
コスパ
最後に価格なんですが、圧倒的にG9 PROが安いです。
これほど能力は均衡しているのに、2019年2月8日時点の価格コム最安値でE-M1 markII(ブラック)が約17万6,000円なのに対しG9 PROは約13万円となっております。
既存ユーザーにとっては泣きたくなる話です😭
オリンパス、市場価格のコントロール素晴らしすぎませんか…
結局おすすめは
というわけで価格まで考えると、どうしてもLUMIX G9 PROが断然おすすめということになってしまいます。
ただ中古相場ではそこまで大きく違いません。
それを踏まえても、やはりLUMIX G9 PROが僅差でおすすめではあるのですが、 実際にはどちらを買っても、マイクロフォーサーズハイエンド機として満足のいく性能です。
というわけで自分で考え直してもかなり魅惑な両機種ですが、問題はE-M1 markIIのシルバーモデルですよね…
単なる色違いで新モデルとして初値を元に戻すというオリンパス。さすがです。
E-M1 markIIのシルバーモデル 世界限定2000台! 触りたい!!!
(か、買わないんだから!)
(2022.6 追記:シルバーモデルは中古でも入手困難です)