パナソニックLUMIX G9 PROにもオリンパスOM-D E-M1 markIIにも複数枚のピントをずらした画像を合成してより被写界深度*1を広く見せることができる深度合成機能がついています。
なるべく全体にピントを合わせたい商品撮影や、どうしてもピントが浅くなってしまうマクロ撮影等においてはとても有効です。
ただ、実際にほとんど使用したことがなかったので、どこまで使えるものなのかテストしてみました。
G9 PRO 深度合成
深度合成のアプローチの違い
それぞれ同じ機能でありながら若干アプローチが異なっています。
OM-D E-M1 markII
E-M1 markII の方は8枚のフォーカスブラケット*2画像から合成されます。
撮影後すぐに合成画像が生成開始されます。
合成前8枚のRAWまたはJPEGファイルも同時に記録されます。
E-M1 markIIの他にもE-M1、E-M5 markII、PEN-Fで使用可能です。
LUMIX G9 PRO
一方、LUMIX G9 PROの方は、 動画から静止画を切り出す6K、4Kフォトから派生した機能になります。フォーカスセレクトといった後からピント位置を決められるユニークな機能と同時に行えます。
パナソニックの場合は多くの機種で深度合成が可能ですが、6Kフォト機能がない4Kフォト機種では約800万画素になります。
GH5や G9 PROなど6Kフォトの機種では約1,800万画素での記録が可能です。
E-M1 markII 深度合成
どちらが使いやすいか
OM-D E-M1 markII
E-M1 markIIの方が撮影から合成までが早いです。
あらかじめ設定したフォーカスステップ(フォーカスをずらす幅)に合わせて手前から奥へピントをずらしながら8枚連写したのち自動で合成されます。
トリミングされる範囲が意外と大きいです。
メニューのブラケット→フォーカスプラケット→深度合成 で設定できますが、これを見つけるのに小一時間かかりました(^^; まあ最初から説明書を読めという話ではあるんですが。
あと、深度合成機能に対応したレンズでないと使用できません。
LUMIX G9 PRO
G9 PROの場合は多少手間と時間がかかります。
画面上のすべてのフォーカス可能点に合焦しながら動画として記録されます。
撮影後、フォーカスセレクト*3画面になるのでそこから深度合成ボタンをタップして、自動合成またはピント範囲を選択して合成することができます。
ここからの合成開始となるのですが、枚数が多くなることもあるためか10〜20秒程度待たされます。
設定はドライブモードダイヤルでフォーカスセレクトに合わせるだけと非常に簡単です。
E-M1 markIIと違いどのマイクロフォーサーズレンズでも合成可能ですし、トリミングされてるかは見た目でほぼわかりません。
ただ動画のコマを切り出すという仕様のため1/30より遅いシャッタースピードには設定できません。
手早いのはE-M1 markIIですが、面白いのは G9 PROでしょうか。
多い枚数撮影する場合は手間がかかる分G9 PROは煩わしいでしょうね。手間もかかりますが合成の時間もおおむね20秒近く待たされます。
E-M1 markIIはブラケット分と合わせて9枚の画像が保蔵されるので、それはそれで鬱陶しく感じることもありました。
実際に撮ってみました
実際に撮影して見て、粗探しを(笑)してみたいと思います。
非常に有用な機能ですが、実際にはカメラ内で行われる自動合成ですので、割と得手不得手がそれぞれあります。
今回は同じレンズで同じ露出で、全て手持ちで撮影しました。
もちろん双方とも三脚使用を推奨していますが、ある程度は合成時に処理してくれるので今回のような撮影では固定撮影と比べ差を感じませんでした。
↓ LUMIX G9 PRO
↓ E-M1 markII
こういった割と平坦なものは双方いい感じに仕上げてくれます。
ほぼ同じ位置で撮っていますが、E-M1 markIIはトリミングが大きく仕上がりの画角が狭くなっています。
若干E-M1 markIIのフォーカス範囲が狭いです。
↓ LUMIX G9 PRO
拡大:なんだかギザギザ
↓ E-M1 markII
拡大:ロゴの周りに妙なグラデーション
こういったブツ撮りに関しては大体の場合はほぼ問題ないんですが、シーンによってはよくみるとそれぞれちょとずつおかしなところがあります。
↓ LUMIX G9 PRO
拡大:背景に(超)下手くそな合成痕
↓ E-M1 markII
拡大:輪郭に不自然なぼかし
これくらい複雑で奥行きがあるとそれぞれの欠点が浮き出ててきます。
LUMIX G9 PROに関しては結構この下手くそ合成痕が出てきます。 Photoshopでも使えば簡単に処理できるのですが、それはまた一手間以上かかるので面倒ですね。
E-M1 markIIは割とぼかして誤魔化す処理が目立ちます。
フォーカスステップを最大にしても合成範囲はあまり広くはありません。
総評
何枚も撮る場合はE-M1 markIIが良いでしょう。ただフォーカスステップの数値を決めるのに試し撮りが必要なことか多々あるかと思います。
しかし、E-M1 markIIの方がピント範囲が狭く、ぼかして処理する部分が多いせいか、全体の描写が甘く感じます。
LUMIX G9 PROの方は背景部分の処理が下手すぎるのと時間がかかりすぎるのが致命的でありますが、ハマった時の仕上がりは全体がシャープでより良いと思います。
この機能の良し悪しで、機種を選択される方はあまりいないとは思いますが、強いていえばテンポの良いE-M1 markIIでしょうか。使えるレンズは限られますが。
どちらにしても、まだまだ自動合成のアラが見えるので、ちゃんと作品などに使うにはレタッチが必要でしょう。
逆にいうとBlogやヤフオク、メルカリ、印刷でもサムネイル程度の大きさのブツどりに使うのであれば、どちらでも十分使えるクオリティかなと思います。
蛇足:フォーカスセレクトが面白かった
深度合成とは違いますが、LUMIX G9 PROのフォーカスセレクトが意外と面白かったです。
撮影後にピントを合わせたい部分をタップするとそこにピントがあっている画像が切り出せるというだけなんですが、合成処理があるわけではないので仕上がりに不自然な部分はありません。
複数の猫がいる場合なんか、これで撮っておけばめっちゃ重宝しそうですよね(笑)
ま、誰もこっち見てくれないんですけどねw