低所得層にもかかわらず、ふと金銭感覚のおかしさに気づくことがある。
それは間違いなく、レンズを購入する時だ。
趣味である限りだいたいそうなっていくのであろうが、ことレンズに関してはまさに沼というほど次から次へ、使ってみたい、所有してみたい欲が湧いてくる。
ある種の薬物依存のように例えられることもあるレンズ沼だが、薬物以上にどんどん欲するレンズの単価が上がっていくのが恐ろしいのである。
そんな、次々と高価なレンズに手を出してしまい金銭感覚がおかしくなってしまっている、レンズ沼住人のその感覚を、普通の人に伝えてみようと思う。
〜19,999円 タダのようなもの
沼住人ならばそもそもこの価格帯に興味の湧く新品レンズはあまりないのだが、沼の始まりは全てここである。
すでに沼住人であろうとも、中古レンズとなると少し話は別だ。
ちょっと気になる描写の作例*1を見てしまったりすると、コンビニでお菓子を買うような感覚で購入してしまう。
いや、むしろ割高なコンビニでお菓子を買う方がかなり躊躇する。
このくらいの価格帯だと「気に入らなければ売ればいい」とか思って買っても、大概は忘れ去られて防湿庫の肥やしになってしまう。
2万円以下は散財にカウントされないという謎ルール*2もあるので、購入したことすら本人の記憶にないことも珍しくない。
先日私が購入したレンズはまさにこのパターン。 酒が入っていたこともあり、いいね!をつけるくらいの感覚でポチってしまっていた。
20,000円〜49,999円 めっちゃ安い
意外とこの価格帯は、中古銘玉レンズが多く、所有欲が満たされるレンズも多いので「なんでもいいからとにかくレンズが欲しい!」という発作が起こるとまずこの価格帯の中古レンズ情報を漁ることになるだろう。
「新品で買ったと思えば、本当は8万円くらいだから、3万円も得をする。」などと自分に都合の良いお得感溢れるコピーが脳内にちらつき始めたら、もうすでに買っているのである。
↑ このレンズも、めっちゃ安いなどと紹介しているが3万円近い価格である。
しかし「高いじゃないですかー!」などの否定的な意見は一つも聞いたことがない。
「めっちゃ安いのに良い写りですね〜!」「安すぎるので自分も買いました!」という感謝の言葉しか聞いたことがない。
非常に安価でお買い得感あふれるレンズだ。
50,000円〜99,999円 安い
このクラスでも、まだ安いと感じる。
我ながらやはりどこかおかしいとしか言えない。
そのおかしいという気持ちもわかるのだが、オリンパス40-150mm F2.8 PROや7-14mm F2.8 PROのような神レンズが中古だとギリギリこの価格帯に飛び込んでくる。これは明らかに安い。
まさにMFT(マイクロフォーサーズ)冥利に尽きる。
フルサイズでもタムロン大三元ズームもこの価格帯に入ってくる。安い。
まさに良いレンズを買うにあたって一番手が出しやすいプライスレンジである。
100,000円〜199,999円 良い値段
さすがにこの価格帯になると、独り身であろうが簡単には手が出せない。
金策も必要だが、自分をロジカルに納得させる正当な理由が必要だ。
「大三元だから」「100-400mmがこの価格だし」などレンズの性能から相対的なお買い得感を見出すのは当然ながら、「新品だし」「ベストチョイス*3だし」「自己投資だし」などと様々な理由を自分に言い聞かせ始める。
このクラスから上になると下取りが大きな原動力になり、マップカメラの買取カートに次々と所有レンズを入れることになる。
買取優待券シール*4や下取り交換10%UPなど各種割引のお得感に魅了され、購入価格との差額(支払額)が5万円を切ったあたりから「実質無料」などという常人にとっては訳のわからないことを言い始めるのである。
5万円以下で言い始めるのならまだかわいいほうだろう。 複数本のレンズやボディまで含まれてくると、10万円でも実質無料ということにしてしまう住人も珍しくない。
買取価格のほうが高くなってしまった場合など、なぜだか「儲かった!」と喜んでしまい、購入するレンズが一本増えてしまうことなどザラである。
そして悩んでいる時間は負債と言い始め、無料なのに負債を発生させるわけにいかず我先にと購入するのである。
マップカメラのカートは入れた買取商品も記憶してくれるので、購入した瞬間から買取カートに保存しておき、次なるレンズへ備えることができる。
次のレンズ購入時には支払い金額を、防湿庫利用料*5として考えると罪悪感は少ない。
こうなるとたとえ下取りなしでも、レンズ購入は防湿庫利用料という考えが定着する。
200,000円〜499,999円 高い さすがに買えないのに買う
かなり幅があるのだが、このくらいの価格帯になると第一印象は、「さすがに買えない」なのである。
しかし、そんなこと言いつつもいずれ必ず買うのである。
一度20万円のレンズを購入してしまうと、次は30万円のレンズを買うハードルは一気に下がり、40万円、50万円と行くのである。
まさに新高値ブレイク(レンズ)投資法である。店しか儲からないが。
自らを追い込むにはtwitter。そしてブログ。
twitterなどで、レンズが欲しいことを臭わせるツイートをしたら最後だ。
次から次へと「おめでとうございます!」リプライが届き、少しでも悩んでいる素振りを見せようものなら、レビューや作例のURLが送り付けられ追い込まれること必至だ。
そして、その欲しい理由を自分でブログ記事にまとめたなら、レンズ沼深部への入水完了である。
500,000円〜 絶対に買えない(のに買う)
もうここのあたりまでくると、欲しくて買える人は買うとしか言いようがない(笑)
自分もまだ、たどり着けない未踏の沼底である。
自分などまだまだヒヨっ子である。
しかも、たとえこれが底*6であろうとも、これ以降ももがき続けるのである。
ほとんどが大きく重たい大口径望遠レンズの域になるであろうが、これを必要とし欲する人にとってはもはや価格は関係ないのであろう。
このレンズでしか出せない絵があるからこのレンズを買うしかないのである。
これこそがまさに「プライスレス(実質無料)」なのである。
奥様(旦那様)、レンズは資産です。
もし、レンズ沼住人の奥様方(旦那様方)に読まれてしまったなら、散々とてつもない高価な無駄遣いっぷりが伝わってしまっただろう。
そうなれば住人から抹殺されかねないので、一つエクスキューズ(言い訳)を伝えなければならない。
それは、レンズは値落ちの少ない優良な資産であるということだ。
なので、旦那のレンズ収集癖にしびれを切らした場合も、自棄になってレンズを投げつけたり、捨てたりしてはならない。
いつでも売ればお金になるという心の余裕を持って、円満に夫婦生活を送っていただきたいと願うばかりである。
↓ このレンズめちゃくちゃ良かったです。またレビュー記事書きます。