オリンパスより2020年3月に発売されました最軽量PROレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROをE-M5 markIIIと共に入手してしまいました。
小型軽量ハイエンドコンパクト標準ズームといえば筆者も愛用していますLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.があるのですが、それとの違いなども比較しながらレビューします。
スペック
- 参考価格 約6万6,000円
- サイズ 70mm × φ63.4mm
- フィルター径 58mm
- 最小絞り F22
- 最短撮影距離 0.12m
- 絞り羽枚数 7枚
- 重さ 254g
- 最大撮影倍率(35mm換算)0.5倍
- 防塵防滴
35mm換算 24-90mm相当となる"超"小型標準ズームです。
この大きさにしてなんとPROレンズです。
オリンパスPROレンズシリーズですが、残念ながらフォーカスクラッチもFnボタンも非搭載です。
AF/MF切り替えスイッチすらありません。
フィッティング
OM-D E-M5 markIII
今回、E-M5 markIIIのレンズキットとして購入したのですが、キットなだけあってさすがベストフィッティングです。
すごくコンパクトでルックスもとても良いです。
LUMIX G9 PRO
わざと縦グリップをつけてみましたが、ホールドした感じ思いの外悪くないです。
極端に重量バランスがボディよりでボディだけ持ってるみたいな感じなのですが、G9 PROの操作性と相まってとても撮影が楽しくハンドリングが良いです。
LUMIX GF9
ボディが小さすぎるので見た目はレンズが大きく感じますが、グリップのないGF9でも保持しやすい重量バランスです。これで90mm(35mm換算)まで撮れるんだからいいな。
手ブレ補正が欲しかった。ただそれだけです。(GF9はボディ内手ブレ補正非搭載)
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0との比較
同じく高級コンパクト標準ズームとなるLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.と比較してみました。
大きさ比較
とてもコンパクトなのに非常に写りの良いレンズとして重宝していました12-60mm/F2.8-4.0 ですが、それよりもさらに1周り以上コンパクトです。
長さ1.6cm、重さ66gほどの差になります。
ズーム望遠端が45mmに対して60mmになります。35mm換算だと90mmに対し120mm。
レンズの繰り出し幅も大きくなります。
実際12-60mm/F2.8-4.0をボディにつけて持ってみると、12-45mm F4.0 PROに比べ明らかにレンズの存在感が増しますが、E-M5 markIIIクラスなら全くバランスは悪くありません。
むしろある程度レンズの大きさを感じるのでなんだかより良い画が撮れそうな気分になります(笑)
35mm換算 120mmまで撮れるのはサイズが大きいデメリット以上にメリットが大きいですね。
ボディ内手ブレ補正のないGF9でも手ブレ補正が効くのが嬉しいです。
描写比較
さて肝心の描写を比較してみました。
最初に言ってしまうとほとんど差がないほど両者とても良い描写です。
それでも少し差がわかるよう、E-M5 markIIIのハイレゾショットで撮影しました。
8千万画素相当のRAWをそのままLightroom Classic で等倍表示したもののスクショです。
広角端12mm
全体はこんな構図です。
中央部 F4
まずはF4.0での比較です。
中央部はほぼ差はなく両者ともシャープに描写しています。
強いて言えば、12-60mm/F2.8-4.0の方がコントラストがよくシャープに見えます。
中央と周辺の間 F4
周辺と中央との間くらいの場所ですが、このあたりから明らかな差が出てきます。
中央と周辺の間 F5.6
一段絞ってF5.6にするとその差は解消されます。
中央と周辺の間 F2.8(12-60mm/F2.8-4.0)
ちなみに12-60mm/F2.8-4.0の広角側開放値であるF2.8と12-45mm F4.0 PROのF4を比較してもまだ12-60mm/F2.8-4.0の方がシャープです。
望遠端 45mm
12-45mm F4.0 PROの望遠端45mmでも比較してみました。
中央部 F4
中央部は12-60mm/F2.8-4.0の方がシャープです。
中央部 F5.6
一段絞るとほぼ同等ですが、わずかに12-60mm/F2.8-4.0の方がシャープ。
周辺部 F4
周辺になると大逆転。12-45mm F4.0 PROの方がシャープです。
12-60mm/F2.8-4.0の方はブレてるの?と思いましたが先ほどの中央部と同じ画像です。
周辺部 F5.6
一段絞るとほぼ同等となります。
周辺部 12-100mm F4.0 IS PROと比較
何かの間違いかと思って全域最高画質の便利ズームM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROと比較してみましたが、まさかの結果に。
12-45mm F4.0 PROの望遠端すごいですね。
逆光、光条
開放付近で意地悪に撮ってもこれくらいが限度です。
フレアがかってコントラストは低下しますが、とても優秀です。
最小絞りF22に絞って光条を出してみました。
シャープな光条になりますが少し末広がりな形に出ることが多かったです。
左はサッポロポテト現象が出ていますが、これはセンサーの反射でレンズの問題ではありません。
パープルフリンジもほとんど見受けられません。
ボケ
マイクロフォーサーズでF4ということもありボケを大きく出すシチュエーションは限られますが、ボケの描写はざわつくことなく非常に素直です。
再び12-60mm/F2.8-4.0と比べてみましたが、どっちがどっちかわからないくらい似たような描写です。
玉ボケ
先ほどの紫陽花の写真のボケにもみられるように玉ボケも端正な形です。
左からF4、F5.6、F8です。
F8まで絞ると角ばってきますが、年輪や模様も出ず良い感じです。
めっちゃ寄れる
全域で、35mm換算0.5倍相当になるハーフマクロレンズなのですが、そのワーキングディスタンスはマイクロフォーサーズらしく非常に接近したものになります。
スペックシート上での最短撮影距離は広角端で12cmですからレンズ前約3cmと言ったところです。
望遠端でも23cm、レンズ前約12cmまで寄ることができます。
まとめ
超小型なのに文句のない写り。まさにマイクロフォーサーズらしいレンズと言えるのではないでしょうか。
このレンズを手にした当初は 12-60mm/F2.8-4.0 の方がズーム倍率も高くていいじゃん!と思っていましたが、実際持ち歩くに連れ 12-45mm F4.0 PRO のこの大きさは病みつきになりそうです。
時間をおいて 12-60mm/F2.8-4.0 を使うとすごく立派なレンズに感じてしまいます。まあ、それでも大きすぎると感じることは無いのですが、12-45mm F4.0 PROのコンパクトさが際立っています。
E-M5 markIIIにつけると超高性能コンデジのような感覚です。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROとLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.どちらを買うか
とても悩ましい問題ですが、E-M5 markIIIより大きなボディであればレンズが小さいメリットより12-60mm/F2.8-4.0 のズーム倍率の高さを優先する方が幸なような気がします。
コンパクトなボディだと12-45mm F4.0 PROの小ささがさらに活きてきますが、GF9など手ブレ補正のないパナソニック製ボディだとやはり12-60mm/F2.8-4.0 の光学手ブレ補正が魅力的だと思います。
E-M5 markIIIが一番悩むサイズかもしれません。E-M10 系なら12-45mm F4.0 PROとの組み合わせが良いんじゃないかと思います。
気になる価格差ですが、新品同士なら2.7万円近く12-60mm/F2.8-4.0 が高いのですが、中古を選ぶとその差は1万円未満になるのがさらに悩ましいところです。
時間が経って12-45mm F4.0 PROのタマが増えれば、また差は開くかと思います。
今回のテストで描写性能は一長一短な部分が見受けられましたが、そもそもハイレゾショットという過剰なテストですので、通常の使用においてその差はわずかなものだと思います。
非常に甲乙つけがたいです。個人的に一から選ぶとすれば、E-M5 markIII以上のボディサイズもしくはパナの手ブレ補正なしボディなら 12-60mm/F2.8-4.0 、それ以下のサイズなら 12-45mm F4.0 PROを選ぶかと思います。
作例
最後に拙い作例をご覧いただきお開きにしたいと思います。
E-M5 markIII 、JPEG撮って出し(ピクチャーモード:ナチュラル)です。
↑ この写真のみLightroomでJPEGを+1EV補正