【2019年12月20日更新】
2018年のフォトキナでの開発発表時から、超注目していたレンズがとうとう発売されました。
発売発表と同時に予約をし、無事2019年8月22日の発売日にゲットすることができました。
箱から出して手に持ってピンときました。こいつは間違いなくワクワクするレンズです。
2回の旅行を含め1ヶ月ほど使用した時点でのレビューですが、大変使い勝手も画質も素晴らしいレンズでした。
35mm換算20〜50mmの画角ってどうなのよ?
レンズ名を見る限り非常に奇妙な焦点距離のズームレンズで実際使いづらいんじゃないか?と危惧していましたが、全く問題ありませんでした。いやむしろ良かったです。
筆者は M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO も所有していますが、普段7-14mm一本で出かける気にはあまりなれません。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO と組み合わせることによって最強の布陣となります。これはまさに無敵です。
ただ、7mm(35mm換算14mm)近辺の画角を普段の旅スナップなどで使うかと言われると、あまり出番はないんですよね。風景で狙って広角を使うことが予測されない限り持っていく出番は減ってしまいました。ED 7-14mm F2.8 PROはめっちゃいいレンズなんですけどね。
今回の2回の旅行では10-25mm/F1.7と超便利ズームを組み合わせました。東京へはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3、直島へはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを持って行きましたが9割以上は10-25mm/F1.7で撮影していました。
もちろん買ったばかりで使いたいと言うモチベーションはあるものの、20mm(35mm換算)と言う程よい超広角の使い勝手が良く50mm(35mm換算)と言う標準域までカバーできてF1.7と言う明るさがあるのでポートレート的な撮影までこなせてしまう万能感がありました。
もちろん、 ED 12-200mm F3.5-6.3 や ED 12-100mm F4.0 IS PROほどの焦点域をカバーしているわけではありません。がしかし、強烈なパースまではつきにくくそれでいて35mm換算24mmとは明らかに格の違うワイド感を備えた20mmから50mmまで全域F1.7の開放でもキレキレとなれば、まあこんなに使ってて楽しいレンズはなかなかないわけですよ。
レンズの機能と外観
フィルター径は77mmにもなりかなりレンズ自体の大きさは感じますが、手に持ってみると大きさの割りには軽く感じます。あくまで大きさの割にですが。
その重量は690gほどですので、G9 PROぐらいのグリップがあれば難なくスナップで握りながら歩くこともできます。
絞り羽根は9枚。最小絞り値はF16。カタログスペック的には最短撮影距離は28cm(フード前約9cm)となっていますが実際に試してみるとフード端より3cmまで合焦サインが出てかなり寄れます。
防塵防滴です。
各リングとフォーカスクラッチ機構
レンズには3つのリングがついており、前玉側から絞りリング、フォーカスリング、ズームリングとなっています。
絞りリングはクリックレスでスムースに動きます。動画用途に最適化されているとは言え、静止画用途でもなんら問題ありません。
フォーカスリングにはクラッチ機構がついており手前にスライドさせることで即座にマニュアルフォーカスへ切り替えることができます。オリンパスのPROレンズのようですね。使い勝手はとても良いです。
残念ながら手ブレ補正は搭載されていません。
フィッティング
もちろんLUMIX G9 PROクラスのボディにはベストマッチです。非常にバランスが良いです。
LUMIX GX7 markIII に装着してみましたが、オプションのグリップを装着すれば、バランスは悪いもののなんとか使えます。慣れれば意外と普通に使えます。
LUMIX GF9に装着すればもはや笑うしかないレベルでアンバランスです。むしろオリンパスAIRのようにレンズメインで抱える独自のスタイルでいけば使えなくはないですが、あまり使いたいとは思いません(笑)ボディ側のマウントも不安ですし。
鏡筒の繰り出し
望遠端の25mmで1.5cm、広角端10mmで0.5cmほど鏡筒が繰り出します。ごくわずかですが。
13mm付近が一番短い状態になります。
解像力テスト
とにかくまあ、撮った写真を取り込んで見ていると隅から隅までものすごい解像しているのがわかります。
こんな気持ちいいレンズはなかなかありません。どの写真を見ても(自分のミスである手ブレやピンボケは除いてですがw)非常に気持ちいい写りです。
ハイレゾモード Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/5.6 14.0 mm 1/800 200
と言うわけで毎度おなじみベランダからのハイレゾテストをやってみました。
全てハイレゾモード8000万画素のRAWで撮影したものをそのままLightroomにてJPEGに書き出しています。
それぞれ周辺部と中央よりの位置をトリミングし等倍で並べました。
レンズにより画角差がありますので位置は多少調節しています。
10mmでの比較
まずは広角端の10mmにて、先ほども話に出てきましたオリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROと比較してみました。
今までのテストではF2.8通しの超広角ズームながら別格の安定した解像力を見せてくれていました。筆者も信頼していて大好きなレンズの一つです。
中央なら双方区別つかない程度によく解像しています。 中央から外れて最初の画像の位置辺りまではほぼ同等の解像具合ですが、2枚目の画像の位置では7-14mmF2.8の像はぼやけて流れてしまっています。
それに比べ10-25mmF1.7は開放から周辺ギリギリまでビシッと解像しています。
7-14mmF2.8PROの解像力は文句なくすごいと思ってたんですけどね。今までは。10-25mmF1.7凄すぎます。
14mm付近での比較
続いて ED 7-14mm F2.8 PROに加えて、LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.と 14mm付近でテストをしてみました。
15mm/F1.7は超コンパクトながらとても良い雰囲気を持った描写のレンズです。単焦点だけあって解像力も文句ないはずです。
やや中央寄りにて、10-25mmF1.7は開放でも滲みが少なく恐ろしいほど安定した描写を見せてくれています。 15mm/F1.7はちょっとパープルフリンジが気になりますが、こんなものですよ。十分なはずですが10-25mmF1.7をみた後だと物足りなく感じてしまいます。
逆に右下フェンスでの10-25mmF1.7の解像は思ったほどの結果が出ませんでした。むしろ15mm/F1.7の解像力が際立っています。もしかしたら個体差的な何かでしょうか🤔
25mmでの比較
最後は オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO と25mmでの比較です。
バッキバキにシャープなレンズとは方向性の違う柔らか志向なレンズです。
全体的に25mm F1.2 PROは滲みというかフリンジっぽい収差もみられます。
こういう描写の隙は柔らかさであったり雰囲気の良さだったりと対の関係だなぁと再確認してしまいます。
ただ25mm F1.2 PROをフォローするわけではありませんが、このレンズのボケや輪郭の柔らかさや淡目の色のりなんかは、すっごい良い雰囲気を出してくれますので何者にも代え難いんですよね。
しかし10-25mmF1.7はズーム全域開放からどこにも隙のないレンズですね😅
撮ってて気持ちいわけですわ。
その他描写テスト
ボケの描写
広角だし、バキバキシャープな描写だからボケはざわついちゃうんじゃないの〜っ思いますよね。
それがまた、広角端から質の高いボケを見せてくれます。
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/1.8
17.0 mm
1/2000
200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/1.7
10.0 mm
1/16000
200
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 16.0 mm 1/400 200
歪曲収差
撮影していてちょっと気になったのが広角端での歪曲収差です。
簡易的にテストしてみましたが、やはり広角端では若干タル型の収差がみられます。
コマ収差*1
超広角でF1.7となると星を撮りたくなるのが人の子というものです。
残念ながら月と天気に阻まれて、満点の星空を撮影することはこの短い期間で叶いませんでした。
ベランダから撮りましたが検証用には十分写りました。さすが田舎。
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 10.0 mm 8 800
左上部分をピクセル等倍よりさらに2倍に拡大して並べました。比較するレンズはこれまたED 7-14mm F2.8 PROです。
検証する上であまり星が流れるのも困るので、8秒のシャッタースピードに固定してISO感度で露出を調節しています。長秒ノイズ軽減ONです。
開放では周辺のコマ収差が目立ちます。
この写真の場合、iMacのRetinaディスプレイで等倍鑑賞なら思いのほか気になりませんが、通常のディスプレイで見ると明らかに三角形になっています。
F4まで絞っても端の端の収差は消えません。
星を撮影する上ではなるべく明るいレンズを使いたいところですが、ED 7-14mm F2.8 PROを所有している身としては積極的に10-25mm/F1.7をチョイスする理由はないかなと思います。
しかしED 7-14mm F2.8 PROのコマ収差の少なさはさすがですね。開放から使って問題ないのはマイクロフォーサーズの星の撮影では心強いです。赤道儀使っても長秒ノイズに苦しみますんで😅
ただ出目金ということで迷光が入りやすいです。フレーミングには気を使いますね。
全体的には10-25mm/F1.7の方がよりすっきりとコントラストが高い写りです。
これくらいのコマ収差なら気にしないとか、ちょっとトリミングすることを前提とするならば描写力とF1.7の明るさで星の撮影はより良い結果になるでしょう。
【追記】
このレンズを使って星を撮ってきました。
やはりコマ収差が気になるため、結局F4まで絞りました。
赤道儀を使って星をF4 180秒 ISO1600 で撮ったものを35枚加算平均で重ねてます。 前景は F4 30秒 ISO3200 を4枚です。
冠雪大山と冬の大三角
この写真はトリミングしていますので後ほどトリミング前の写真もアップします。
光条(光芒)と逆光性能。
パナソニックのレンズといえば末広型の光条になるイメージですが、このレンズは思いのほかシャープな光条を見せてくれます。
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/16.0
18.0 mm
1/250
200
逆光性能もほぼ完璧に近いんじゃないでしょうか。
気になるフレアはなく、ゴーストも無理やり出しても最小限です。
周辺減光
広角端で比較してみましたが開放でもまず気になることはありません。
広い面で減光しているような感じで全く目立ちません。
露出がちょっとアンダーなだけ?🤔
まとめと作例
レンズの大きさを考えるとグリップの大きなG9 PROがベストマッチです。そのほかでもLUMIX G8やG99、OM-D E-M1 markIIなどしっかりとしたグリップのある機種に合わせたいところです。
描写に関しては、歪曲とコマ収差に若干隙を見せるものの、それ以外では完璧すぎる写りと性能ではないでしょうか。
ほんと、どの写真を見てもハッとするほど良く写っています。
あと、やはり開放F値がズームによって変動しないのは使いやすいです。
20万円を超える価格であるものの、全域単焦点レンズを上回る描写といっても過言ではないです。
パナソニックが言う単焦点レンズ5本分と思えばむしろ安く感じます。大企業がまるで筆者のようにアホなこと言い出したなーと思ってましたが、使ってみて大いに納得です。むしろお釣りがもらえます。
個人的には今年買ったレンズで飛び抜けて満足度が高いです。今年どころか今までのレンズ合わせてもベスト3には間違いなく入ります。
今後メインレンズの座はしばらくこいつが譲らないでしょうねー😉
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/2.8 14.0 mm 1/30 200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/5.6
10.0 mm
1/1000
200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/5.6
10.0 mm
0.4
200
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/6.3 10.0 mm 15 200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/16.0
10.0 mm
1/100
200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/8.0
20.0 mm
1/800
200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/8.0
10.0 mm
1/5
200
Panasonic DC-G9
LEICA DG 10-25/F1.7
ƒ/5.6
10.0 mm
1/1600
200
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/8.0 10.0 mm 1/125 200
Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/2.0 25.0 mm 1/30 200
*1:星など小さな点光源が三角形のようになる収差。四隅で顕著に表れる。