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第2回 iPhone 11 Proのナイトモードをマイクロフォーサーズ20万円超えレンズと比較してみる

キャッチ画像

前回の記事(iPhone 11 Proのナイトモードをマイクロフォーサーズ20万円超えレンズと比較してみる - toshiboo's camera)でiPhone 11 ProのナイトモードとLUMIX G9 PROの比較をさせてもらいました。

比較対象がおかしい?

「iPhoneカメラ内でガチガチにHDR*1加工されたものと比較するのに (G9 PROの)RAW画像をそのままJPEGに書き出したものを当てるのはどうなのか。」

のようなご意見をいただきました。

確かに確かに。


当サイトでは普段から他の検証でもRAWをそのまま書き出した画像を使用していました。

多くの場合RAWでいじっちゃうとそのいじり具合の話になってしまいますし、いじればそれはそれで批判されたり(笑)

今回iPhone 11 Proとの比較は、iPhone内での加工がかなりすごいものでしたので、その見栄えの違いからiPhoneの提灯記事と思われた方もいらっしゃったようで「Appleのステマか」などと言われたりもしましたが、Appleのステマオファーがあるなら是非ください😂 当サイトはAppleのアフィリエイトプログラムの審査すら通過できませんでした😭



初めてiPhone 11 Proでナイトモードを使った時、手持ちで手間をかけずに気軽にこれほどすごく見栄えの良い写真が撮影できたことに感動しました。
それを踏まえLUMIX G9 PROでも手持ちで手間をかけずに気軽に、普段のナイトスナップ的に撮影して比較した次第です。

ただ、LUMIX G9 PROにも筆者の知らなかった便利オート機能がありました。普段99%RAWで撮影しているため存在すら知らなくて説明書を読み漁りました。

あと、RAWで撮影したものを多少手間をかけてLightroomで補正すれば、流石にiPhoneより綺麗に仕上がるに違いありません。総額35万円のカメラとレンズですからね💦

というわけで今回はマイクロフォーサーズ機 LUMIX G9 PRO のリベンジ編ということで検証してみたいと思います。


もひとつ、「シャッタースピードもiPhoneと合わせないと意味がない」みたいな意見もいただきましたが、そもそもiPhoneのナイトモードがシャッタースピードの概念を超越しているのでそれこそ意味がないですし、その実質的なシャッタースピードもわかり得ないので難しいです。


iPhone 11(Pro)のナイトモードって?

おさらいですが、ナイトモードとはiPhone11から新たに搭載された暗所に特化した撮影機能です。暗いシーンで自動的に発動され、1〜3秒のホールド時間が必要なものの多少の手ブレはものともせずに明るい写真を仕上げてくれます。

高速連写されたコマを位置調節したのち合成によるHDRと加算平均*2ノイズ軽減が働いているものと思われます。この推測よりもっと複雑なこともやっている気はしますが。


G9 PROインテリジェントオートとiPhoneナイトモードの比較

筆者が全く知らなかったG9 PROの機能の一つですがiA(インテリジェントオート)というフルオートモード内に「iHDR」という機能があります。なんでも小文字iをつけとけ的なとこにこの機能が生まれた時代が伺えますが、iPhoneのように勝手にシーンを判断してHDRをかけてくれるようです。

ただし、暗いシーンだとiHDRではなく「i夜景」になってしまいます。メニューから「i手持ち夜景」の使用を設定するとHDRのように連写して自動合成してくれます。

夜景 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1/8 640


夜景 Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 13.0 mm 1/60 3200


木 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 0.3 3200


木 Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/20 3200


スナップ Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1/4 800


スナップ

Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/30 3200


アパート Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1/4 800


アパート Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/60 1250


仕上がり写真を見る限り「i手持ち夜景」にはHDRとしての効果はほぼ無いと思われます。連写した画像を重ねることで、上がってしまったISO感度のノイズを加算平均で軽減しているのだと思います。

なんども試しましたが、暗所では「iHDR」は作動しないようです。

インテリジェンスオートモードにすると絞りやシャッタースピードはもちろん露出補正すらさせてもらえません😂(iA+にすると露出補正は可能ですがiHDRなどの自動合成機能は設定できなくなります)

ある程度光量があるホワイト急便のG9 PROで撮影した写真はコントラストも自然で雰囲気がうまく残っていると思います。ただそれ以外の写真は完全に露出不足となっています。

一方iPhone 11 ProのナイトモードはHDRががっつり効いて手振れも見事に補正されています。HDRが効きすぎだったりグリーンかぶりが少々気になりますが、見栄えの良い写真がワンタップで撮れてしまうのはやはりスゴイなと思います。

またAppleのステマ呼ばわりされそうですが、手持ちでカメラ任せのフルオートという前提であれば悲しいながらこういう感想を抱いてしまいます。


G9 PROプログラムオートのHDRとiPhoneナイトモードの比較

G9 PROはインテリジェントモードにしかHDRの機能が無いかと思って一晩作例を撮りまくってたんです。

翌日よくよく説明書を読むと通常のP・A・S・Mモードでも使えるHDRがあることに気づいてしまいました😂

というわけでまた撮影に行きました。と言っても近所ですが。

アパート Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 0.5 1250


アパート Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/50 3200


G9 PROのこのHDRは基本3枚のブラケット撮影となります。
プログラムオート(P)モードでのHDRなのですが、こういうシーンではやはりG9 PROの光量不足が気になります。
Exif上は1/50秒とまだ余裕のあるシャッタースピードかと思いますが、実際ブラケットで一番遅いシャッタースピードがいくつになっているかはわかりません。

ちなみに、HDRを設定するにはRAWでの記録をOFFにする必要があります。

ISO感度はオートですが3200まで上がってしまっているのでこれ以上あげたくなかったりします。

露出は変更できますがシャッタースピードを遅くしていくと当然手ブレが起きやすくなります。

ブラケット連写ということもあり連写後半はセンサーシフトの可動範囲限界に近づくため通常より手ブレがしやすくなってしまいます。しかも最後のショットが一番長いシャッタースピードになります。

もちろん露出次第ですが、ブラケット連写中に長秒ノイズ軽減が1,2回入るケースもあり、そうなると手持ちでの撮影はかなり厳しい印象です。

木と星 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1 2500


木と星 Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1 3200


かなり暗いシーンで真上を向いて撮ったこともあり、G9 PROの方は完全に手ブレを起こしてしまいました。

iPhoneのナイトモードも同じように不安定な姿勢でより長い時間撮りましたが、見事にブレが抑えられていて星まで綺麗に写っています。
よくみると空はノイズ消しの痕跡なのか妙な模様が出ています。

とはいえこの暗さの手持ちでこれほど撮れるというのは脅威ですね。


遊具 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 0.5 1250


遊具 Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/15 3200


スナップ Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 0.5 1250


スナップ Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/25 3200


アパート Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1/8 1000


アパート Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 14.0 mm 1/10 200


再びアパート前の写真ですが、G9 PROの露出やHDRの効き具合がイマイチなのはともかく、合成されている像が合っていません😅

写真下部の自転車を見るとわかりやすいのですが二重になってしまっています。
他の写真でも結構この現象が見られました。これはちょっと致命的な気がします。(HDR設定項目の自動位置調整はONになっています)


LightroomでRAW現像したものとiPhoneナイトモードの比較

最後に、普段RAWで撮影したら行うであろうLightroomでの補正を施しました。 マスクなど当てずに基本はハイライトとシャドウでの簡易的な調節とノイズ軽減です。

かなり明暗差があるのですが、スライダーの調節だけで擬似HDR的な効果が得られます。

シャドウを持ち上げたことによるノイズと色の破綻に気をつけたいとこですが、この程度ならまだマイクロフォーサーズの1枚画像でもなんとかなります。

神社 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 0.5 640


神社 Lightroomで補正したもの  Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 13.0 mm 0.4 200


神社 補正前  Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 13.0 mm 0.4 200


松江城 Apple iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro back triple camera 4.25mm f/1.8 ƒ/1.8 4.2 mm 1/8 2500


松江城 Lightroomで補正したもの  Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 13.0 mm 1/13 400


松江城 補正前  Panasonic DC-G9 LEICA DG 10-25/F1.7 ƒ/1.7 13.0 mm 1/13 400


ここまですると、LUMIX G9 PROのポテンシャルの高さが発揮できます。

PCのモニターで比較してもiPhoneより明らかにディテールがあり余裕のある描写となっています。


まとめ

Lightroomで補正された画像を見ての通り、ポテンシャルとしてはLUMIX G9 PROの方が断然良いです。

その良さが素の状態ではわかりにくいこともあり今回の比較と相成りました。

残念ながらLUMIX G9 PROによるインテリジェンスオートやHDRはあくまで今のカメラ内合成から飛び抜けている機能ではないことがわかる結果となりました。
正直なとこ積極的に使ってみようと思うほどの機能ではありません。

暗所での手持ち撮影はなかなか厳しいですし、日中でも画像ズレがちょくちょく確認できましたので「自動位置調節」はあるもののあまり信用できる処理ではないです。

手持ちなら強力なカメラ内手ぶれ補正を使い一枚撮影でRAWから現像した方が失敗が少なくでより美しいでしょう。

もちろん三脚使えば問題全て解消され、より間違いなく美しい撮影ができます。


やっぱりiPhoneがすごい?

iPhoneのナイトモードはHDRがしっかり効いて写真全体が明るくダイナミックレンジがきちんと圧縮されいます。
加工によるハロのような不自然さが極力抑えられているのに細部のコントラストはしっかりあり、ノイズは軽減されているのにディテールも感じさせる絵作りです。


しかしそれは、あくまで気軽に手持ちで撮影するならという話です。

簡単に見栄えの良い写真が撮れるということであって、画質が良いというのは多少話が違います。

仕事や作品として残す撮影なら当然一眼カメラを持って行きますし、iPhoneではできない撮影もまだまだたくさんあります。


とかなんとか言っても、手持ちで気軽に撮っただけでここまで見栄えの良い写真が仕上がってしまうiPhone 11(Pro)のナイトモードにはただただ何度も驚いてしまうのでした😅

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この手の外付けレンズを使えばナイトモードも超広角で使えそうですが、iPhone11(Pro)に使ってケラれが起きるかどうかはわかりません。試してみようかな🤔

*1:ハイダイナミックレンジ:露出を変えた複数枚の写真を合成してより広い輝度を一枚の写真に収める手法

*2:複数枚の画像を重ねることによりランダムノイズを減らすことができる