Lマウント 大三元ズームレンズの望遠側を担うLUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. を1年と1ヶ月ばかし使用しましたので、レビューをしたいと思います。
いつでもこのレンズで撮りたくなるくらい、めちゃくちゃ良いレンズです。筆者のNo1お気に入りレンズのひとつです!
- スペック
- 外観
- マッチング
- 色濃く艶やか、全方位で癖のない端正な描写
- 描写、解像力テスト
- LUMIX S 24-105 F4との比較
- 驚異的な手ブレ補正
- 唯一多少気になるのは口径食の大きさか?
- このレンズを使いたいからLマウントを使う
スペック
- レンズ構成 17群22枚(非球面レンズ1枚、UEDレンズ2枚、EDレンズ3枚)
- 最小絞り F22
- 絞り羽根 11枚羽根 円形虹彩絞り
- 最短撮影距離 0.95m
- 最大撮影倍率 0.21倍
- フィルター径 Φ82mm
- 外寸 Φ94.4mm×約208.6mm
- 重さ 約1,570g
- 防塵防滴
外観
外観はLUMIX Sシリーズに準じたシンプルでソリッドな出立ち。
数ある様々なメーカーの70-200mm F2.8がありますが、ダントツ一番カッコ良いと思います。
S1シリーズと組み合わせると、とても凛々しく逞しい姿となります。いやーかっこいい。
このかっこよさに肩を並べられるのはライカくらいじゃないでしょうか、もしくはシグマ…あ、Lマウントアライアンス!
フードのとんがり具合がさらにかっこいいです。
このレンズ初めて手にした時大きいなと思ったのですが、それもそのはずフィルター径がφ82mmもあります。
一般的な70-200mmF2.8の多くが77mmなので、一回り大きい感覚です。
大きくて重いというスペックではありますが、実際手にしてみるとバランスが良く、特にLUMIX S1シリーズと組み合わせた際は 思いのほか取り回しは良いです。なんて言いますか使ってて気持ちの良いサイズ感です。レンズ自体の重量バランスも良いのでしょうね。
三脚座のレンズ取り付け部分は、開閉式?とでも言いましょうかヒンジがついて開くことができ、装着時はレンズを挟み込むようにします。
ボディにつけたまま脱着できますし、取り外し後もレンズ外装はスッキリするので良いかと思います。
一見、ちゃちな取り付け方法に見えますがノブ一捻りでかっちりホールドされます。
三脚座はアルカスイス互換溝が刻まれています。ナイスです。
フォーカスリングは手前に引くとマニュアルフォーカスになる、フォーカスクラッチ機構搭載。
素早くMFに切り替えてピントを追い込むことができます。
レンズ外周3箇所に、レンズFnボタンが備わっています。 筆者はAF-ONを割り当てていますが、他の機能を割り当てることも可能です。
望遠でこれくらい重量があるレンズだと、親指AF時は不安定になりがちなので、レンズとグリップをしっかりホールドしたままフォーカスができるこのボタンは意外と重宝します。3箇所もあるので縦位置でもスムーズです。
サイドのスイッチはフォーカスリミットと手ブレ補正モードの切り替えのみととてもシンプルです。 密かにスライドスイッチの形状が違います。芸が細かいですね。
マッチング
所有するLマウントボディと組み合わせてみました。
言わずもがな、S1Rとの組み合わせはバランスが良く相性は最高です。がっちりホールドできます。
レンズ重量が1.57kgもあるのでS5では少々心許ない。
SmallRigのL字プレートなどを付けるとグリップが延長されて良い感じです。
流石にSIGMA fpは持ちたくないくらいにバランスが悪いです。
グリップをつけてもちょっと迂闊にホールドできないくらいではあります。手持ちでの撮影は厳しいですね。
実際に使ってみましたが、バランスの悪さに追い討ちをかけてファインダーがないというのは無理ゲー感満載でした。
ま、それでもfpには別次元の楽しさがあるんですが(笑)
色濃く艶やか、全方位で癖のない端正な描写
このレンズ、マイクロフォーサーズのパナソニックライカ単焦点レンズを踏襲したかのような描写です。パナライカ好きならぐうの音も出ないほどの描写です。
筆者が愛してやまないLEICA DG ELMARIT 200mm/F2.8の描写にさらに磨きをかけフルサイズの余裕も併せ持ったようなレンズ。しかもズーム。
もちろん言うまでもなく開放から全域周辺までシャープ。非常に綿密で繊細な描写です。
細かな木々が遠景に見えると、このレンズで切り取りたくなります。
そして、とても色濃く、艶やか。
これですよ、この艶やかな色。まさにパナライカの大好きな色のりです。
ボケはざわつくことなくとろっと滑らか。グッと締まった色が被写体をより浮き立たせてくれます。
描写、解像力テスト
↓ 70mm 全体(F2.8)
↓ 70mm 周辺部トリミング
↓ 200mm 全体(F2.8)
↓ 200mm 周辺部トリミング
ズーム全域にてとてつもなく素晴らしい描写を見せてくれます。
中央部は当然のように素晴らしい描写ですのでピクセル等倍比較を割愛しましたが、 周辺部でも文句のない描写でした。
絞りを変えて比較していますがF2.8でもビークなんじゃないかと思うくらいシャープです。
実際には等倍で比較するとF4にてさらにシャープになることがわかります。
周辺減光はF2.8で僅かにが残りますが、F4でほぼわからないレベルまで無くなり、F5.6で完全に解消されます。
LUMIX S 24-105 F4との比較
所有するレンズで焦点域の被るLUMIX S 24-105 F4と比較してみました。
それぞれF4で撮っています。
↓ 70mm 全体(70-200mm F2.8 / F4)
↓ 70mm 中央トリミング
↓ 70mm 周辺トリミング
↓ 105mm 全体(70-200mm F2.8 / F4)
↓ 105mm 中央トリミング
↓ 105mm 周辺トリミング
単体で見ているとLUMIX S 24-105 F4 もかなり良い描写と感じますが、比較してみるとやはりその差は歴然。
引きで全体を見た時の描写もLUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.は色が濃く乗りさらにベールが一枚剥がれたようにクリアです。
等倍で比較すれば、全体での比較では気づかなかった細部の描写、解像力の違いがもの凄くわかります。
いやー、ほんと恐ろしいほどの描写力を見せてくれますね。
大好きなレンズでしたが、このようなテストをするとさらに惚れなおしてしまいます。
驚異的な手ブレ補正
光学手ブレ補正を内蔵しております。
例えば LUMIX S1R と組み合わせた場合、レンズとボディの手ブレ補正協調駆動の Dual I.S.2 により 6.5段分もの補正効果を得ることができます。
実際に、LUMIX S1R と組み合わせて使ってみると、がっちりしたボディによるホールド感、手ブレ状態を可視化できる手ブレ状態スコープなどによって、その数値以上に効いている実感があります。
ほんと撮影結果の歩留まりの良さもさることながら、撮影中のファインダーの安定度が抜群で、撮影の楽しさに拍車をかけてくれます。
唯一多少気になるのは口径食の大きさか?
このレンズほとんどと言っていいほど隙もクセもない、非常に優良な描写を見せてくれるのですが、強いて言うなら周辺での口径食、いわゆるレモン型とかラグビーボール型とか言われる玉ボケくらいでしょうか。
F2.8の大口径ズームレンズですから、口径食は出て当然なんですけどね。単焦点のLUMIX S PRO 50mmF1.4 なんかに比べると多少目につくかなと言う感じです。
ただ、製品サイトを見てみると「口径食が少ない」ってうたってます。確かに以前使っていた某メーカーの70-200mmF2.8なんかに比べるとだいぶ少ないかと思います。
このレンズを使いたいからLマウントを使う
まだまだ、選べるレンズの少ないLマウントですが、このレンズを使いたいからLマウントを使っていると言っても過言ではないくらい気に入っています。
ほんと、何をどう撮っても絵になるというか、このレンズを使えば絵にならざるを得ないんですよね。何言ってるかわかりませんが、筆者のような腕前でもうっとりするような写真を連発してしまいます。
こんなレンズがあるのはLマウント冥利につきますね。
一旦、S1Rに装着して持ち出せば、約2.5kgというその総重量も気にならないくらい楽しく撮影できてしまいます。 いや、間違いなく重いんですが、重量バランスが良く意外と軽快です。
ま、撮影結果を見ればそんな重さのことなんか吹き飛んでしまいますけどね(笑)
問題は価格ですよねー。
清水どころか都庁から飛び降りる覚悟で購入しましたが、間違いなく全Lマウントユーザーにお勧めしたい一本です。
さあ、一緒に飛び降りましょう!